内向的な人に朗報!集団でのブレインストーミングは非効率的らしい
どうも、ダービーです。
就活を経験して1つ分かったことがあります。それは、大抵どこでも協調性・チームワークが重要視されていることです。
まあそれもそのはず。協調性皆無で一匹狼、誰とも協力せず何でも自己流な人って会社としては使いにくい人材でしょう。組織として働く以上、協調性はある程度必要です。
しかし、協調性(どちらかというと日本では同調)には時としてデメリットがあることを忘れてはいけません。何でもかんでもみんな一緒に協力というのは誤りということです。
今回はこれまで世間的に良しとされてきたブレインストーミングの落とし穴について考えていきたいと思います。
ブレインストーミングとは
広告代理店設立者の1人である、広告マンのアレックス・オズボーンが提唱した集団思考・発表方法。「部下が批判を恐れて発言しない」という当時の悩みをテーマに執筆し、その解決策としてブレインストーミングを発案。批判を一切禁じることで批判の脅威を取り除くことが目的。次第にアメリカ企業を中心に採用されていった。
ルール
1. 批判・判断しない
2. アイデアは自由(何でもOK)
3. 質より量
4. 互いのアイデアを結びつけて発展させる
簡単に言うと、思いついたことはとりあえず言ってOKで正しいかどうかの判断・批判は禁止。どんなアイデアでも「いいね!」というスタンスで進めるということです。
内向型に不向きなワケ
内向型人間ほどブレインストーミングに苦手意識を持つのには、内向型の特徴が大きく関係しています。以下はその一部です。
・じっくり考えてまとまってから発言
・細かいことに気づきやすい
・慎重
・不意に頭が真っ白になる
これらの特徴はブレインストーミングという場ではマイナスに働きやすくなります。
思いつきで発言することは極めて少なく、発言に値する内容かどうか頭の中で熟考する傾向があるため自然と発言回数は減ります。これではアイデア・考えなしと見られてしまうこと間違いなし。
他の人とは違った細かい点に気づきやすく、発言内容は時に周囲のレベルより深いことも。勇気を出して言ったところで「?」みたいな反応をされることもしばしば。批判なしが仇となって周囲がしーんとしてしまうこともあります。
また、持ち前の慎重さによって軽快に進んでいた議論に結果的に水を差すこともあります。もっとじっくり考えてみてはどうか、他のアイデアについても議論すべきではといった、外向型とは正反対の意見が時として周りの人に不快感を与える可能性も。
加えて、「あなたはどう思う?」と不意に意見を求められた時に内向型の人は頭が真っ白になることもあります。考えが完全にまとまっている時は問題ないのですが、まだ不十分な場合は話が別。思考停止になってぼーっとしてしまうことが多々あります。(個人的には)
ブレインストーミングの落とし穴
集団より単独の方が効率的という事実
1963年、ミネソタ大学のマーヴィン・デュネット教授は男性会社員48名を集めて課題を与え、単独と集団でブレインストーミングをさせる実験を行った。
単独と集団それぞれで生まれたアイデアの量と質を比較した結果、単独で行った方がたくさんのアイデアを出し、質は集団の場合と同等あるいはそれ以上だった(質は実現性という観点で点数換算)。また、現在まで様々な研究が行われてきたものの検証結果は同じだった。
この結果から分かることは、集団より単独で考えた方が量・質ともに効果的ということです。また、集団の場合参加人数が多ければ多いほど生産性が落ちたとのことです。
集団心理という障害
集団でのブレストには当然集団心理が働きます。
・社会的手抜き
人数が多くなればなるほど1人当たりの頑張りが減るという現象です。「誰かが頑張るだろう」という心理から他人任せになり努力しない人が出てきて、結果的に1人当たりの生産性は単独より減ります。綱引きを用いた実験でも、参加人数が多くなればなるほど1人当たりの綱を引く強さは弱まっています。
・生産妨害
集団でのブレストでは誰か1人が話している間、周りは聞いているだけです。他人の意見に耳を傾けていることで自分の思考は中途半端にストップします。また、そもそも発言が1人ずつであるため、個人のペースを乱されることでしょう。
・評価懸念
要するに、他者の前では自分が評価されているのではという不安です。そもそもこの不安を取り除くためにブレストが存在するのですが、厄介なことにこの不安はそう簡単に拭えません。
集団の中にサクラを入れて誤答を誘うと、75%の人が少なくとも1度は引っ張られるという実験も存在します。注目すべきは被験者の大半が「たまたま自分の意見と合致した」と答えたことです。「周りに変な目で見られるから」でも「みんなが言うなら合わせよう」でもなく、偶然自分の意見と同じだったと証言しています。つまり、不安からくる同調が確実に起きているのにもかかわらず、当の本人は無自覚ということです。評価懸念を完全に排除するのは難しそうです。
まとめ
これらのことから、最も効率的なのは単独で考えてからそのアイデアを持ち寄って少人数で議論することだと言えそうです。
ブレストそのものの存在を否定するわけではありませんし、共同作業すべてをやめろとは全く思いません。ただ、これまでの常識を疑って本当に正しいと思われる方法を試しながら模索することが必要だと感じます。今回の場合は、ブレインストーミング=最高の方法という常識です。チームワークが一番と思われがちですが、時に1人の方がはかどることもあるのです。
現に、多様性のある場(外向型と内向型・男性と女性‥‥)の方が目標の達成度は高いと言われています。ですから共同作業全てが悪いとは言い切れません。要は、内省・洞察と外への関心、単独作業と協同作業のバランスが大事と言えそうです。
参考文献
・『内向型を強みにする』 マーティ・O・レイニー著、パンローリング株式会社
・『内向型人間の時代』 スーザン・ケイン著、講談社